スバル360

車検に向かうスバル360

2016年5月、長く続いたレストア作業が終わって車検に旅立つスバル360です。

三輪で迎えにきてくださったのは守山の二輪工房さん。

写真のこの日からもう一年以上たってますが、逆にこの日からさかのぼること6年ぐらい前にも実は同じような光景を目にしておりました。

 

これ。

スバル360引き上げ

このスバルは当時私が所有していた「中期型のスーパーデラックス」で、今の黄色のスバルは「ヤングS」

今の黄色は2台目のスバルなんです。

 

若い頃(遠い目)この青に乗っておりましてな。かれこれ27〜8年ぐらい前ですかな。

当時はお金も道具も技術もなんにもなかったんやけど自分でレストアしようとバラバラに解体しましてな……そのままですわ。

それがずっと親元のパイプ車庫に隠されておりましてな。

私は家をでて今の安土町に住んでいたんですが、親がこのボロを処分しろ処分しろとうるさく言うもんで仕方なく前出の二輪工房さんに引き取ってもらうことをお願いしたんですわ。

っちゅう、その時の写真。

(実は車の後ろに二輪工房さん写っていたんですが、ここに公開するために消させていただきました)

 

で、引き取ってもらったらそれで終わりのはずやったんやけど、つい「このスバルを二輪工房さんでレストアしてもらったら幾らぐらいになりますか?」と聞いてしもうたんですな。

(ちなみに「レストア」とは元のように「再生」してあげることです)

そんときは自分でレストアする気持ちはなくなってたんですわ。でもちょっとスバルに未練もあったりして。

そしたら二輪工房さん「増田さん、ほれやったらレストア終わったやつが倉庫にありますよ」って。

 

じゃ、見るだけって、ヤングSですやんって、これいくら?って、買いますわって。

整備するし納車までちょっと待ってね、とのことやったんで、その間にスバル専用のガレーヂを建築して、気がついたらまたしてもスバル360が私の元に!

スバル360ガレーヂ

納車時は白色でした。

このガレーヂは、シャッター取付けはシャッター屋さんにしてもらったのと棟上げの時に友達に助けてもらった以外は設計含めてほぼ全部自力で建てました。ようがんばった、おれ。

その後仕事用の作業車を置いておく場所が必要になったんで、このガレーヂを仕事用にして別のところにスバル360用単菅ガレーヂを立て直しました。

レストア1

2014年から2016年にかけてスバル360をレストアしました。

サビがボディの塗装をポコポコ押し上げた部分や、ドアの建付など細かい部分が気になったからです。

又、前に乗っていたスバル360は結局レストアを完成させることができなかったので、そのリベンジをしたいとも思っていました。(前のやつは一度ボディの全塗装はしたけどね。銀色から青色に)

 

レストア作業の写真はインターネットで公開するつもりで撮影してなかったんで(じゃあ何のつもりで撮影したかというと分解前・分解中の写真を残すとあとで組み上げる時に役にたつからです)、あんまりいい写真はないですがピックアップして紹介したいと思います。

もしかしたらレストアラーの参考になる情報は少ないかもしれません。

 

2014/9/19(写真のメタタグ情報の日付です。何かの都合で間違っていることもあるかも)

まずはパーツを外していきます。

ライトカバーとウィンカーレンズを外したところ。

スバル360のエンジンは車体後部にあるのでボンネットの中はスペアタイヤとバッテリーです。

スバル360レストア1

スバルが収まっているのは自作の単菅ガレーヂです。またこれはこれで紹介します。

スバル360レストア2

ボンネットフード(ボンネット?フード?)の裏側。

グラスウールで補修したあとがあります。裏側で普段は見えないですし実用上全く問題はないのですが、気になりますね。

スバル360レストア3

ドアとフェンダーの「チリ」があっていない。

ドアが観音開き(前開き)なので、走行中に開いてしまってヒンジ側がぐしゃっといくスバルが多かったそうです。このスバルの建付の悪さはそれが原因なのか?

※あとでわかったんですが上記理由でヒンジ側が歪んでドアがうまく閉まらなくなったのをドアストライク(?というのか知らんけど、ボディ側についているラッチを受ける部分)を改造してなんとか閉まるようにしていた

スバル360レストア4

あんまり聞かないような気がするISOネジ。

ISOは国際規格ですね。日本ではJIS規格が基本です。でもネジピッチは基本ISOも JISもおんなじはずです。

このシールは、あとでパソコンで複製をつくるので採寸して剥がしちゃいます。

レストア2

2014/9/19

スバル360レストア5

いろいろ外していきます。

後ろ姿が可愛い。

 

2014/11/8

いきなり日付がとびます。

本業の害虫駆除がちょっと忙しかった。

スバル360レストア6

前に言いましたが、おそらく走行中にドアを開けて歪めてしまったと思われるドアヒンジ側のボディーを修正します。全部バラしてからやりゃあいいのに、気になっていた場所なのでつい先走りました。

スポット溶接してある部分をドリルで外していきます。ドリルビット(キリ)は、スポット溶接外し用のやつを使ったのでスムーズです。

スバル360レストア7

外側に膨らんでいたので、ぐうっと押さえつけてスポット部分を再溶接します。

の写真ありませんでした。溶接して、とりあえず錆止め塗料を塗りました。

ぐうっと押さえる時にボディーがへこみましたが、塗装全剥離してボディーを調整するのでオッケーです。

 

2014/11/14

スバル360レストア8

外したドアの塗装を剥離しています。

剥離剤をこってり塗りつけ、サランラップで密着させると効率よく剥離剤が浸透します。

って、なかなか剥れんと思ったら塗装の下に薄ーくパテが塗ってありました。パテが塗っているところは剥離剤が効きにくいです。

それでもグラインダーと根性で地の鉄板をだしました。

スバル360レストア9

おや?左下部分。

スバル360レストア10

サビで穴が開いたところをFRP補修してありました。

スバル360レストア11

穴部分を切り取って、鉄板で同じ形を作り、溶接しました。

っていう肝心の写真がありませぬ。

とりあえず、錆止めの塗料を塗って終了。

この錆止めはPOR-15といって、多少サビの取り残しがあってもその上から強引に鉄板に密着してサビの進行を食い止めるというすごいやつです。

かなり粘度の高いとろりんとした液体です。刷毛塗りで厚く塗るのでタレてきます。

そのPOR-15の写真もありませぬ。

 

2014/11/17

この真っ黒がPOR-15です。乾いてからでこぼこをペーパーで綺麗にならします。

すると削りすぎて鉄板が見えてしまって、もう一度塗る、するとデコボコになる、なもんでペーパーがけをする、と鉄板が見えてしまう……。

スバル360レストア12

 

レストア3

2014/12/4

スバル360レストア13

フェンダーも外して塗装を剥離しました。

 

2014/12/15

スバル360レストア14

ボディーの様子。

スバル360レストア15

ここもかなり気になっていたところ。

どうしても水がたまりやすくサビが出やすい場所です。

このスバルはFRPで補修してあるようです。グラスウールの目が見えています。

スバル360レストア16

アップにしたところ。

非常に怪しい感じです。

 

2015/1/21

大半のパーツを外してボディー塗装を全剥離していきます。

スバル360レストア17

今回はエンジン及びエンジンルームは何も触らない予定です。なぜならエンジンは絶好調だからです。二輪工房さんの腕がいいんだと思います。前のスバルは調子が悪いのでキャブレターを調整したら(自分で)さらにおかしくなって、また調整したらさらにおかしくなっての繰り返しでドツボにはまった記憶があります。

 

2015/1/24

スバル360レストア18

ボディー全体に薄くパテが塗ってあるので、剥離作業は難航しています。

剥離したらPOR-15を塗るの繰り返しで少しづつ進んでいます。

スバル360レストア19

ちょこちょこサビで開いた穴が出てきます。

 

2015/10/7

いきなり半年以上日付がとびます。

ボディーの外側が終わったあと作業をしばらくお休みしていました。

暖かい季節で害虫駆除業がそこそこ忙しかったのと、時間がある時はバードウォッチング、ハチ追い(岐阜や長野の郷土食「蜂の子」になるクロスズメバチを探す遊び)なんかをしていました。

スバル360レストア20

床の剥離をしたところ。

ポコポコ穴が空いています。げっそり。

 

2015/10/8

スバル360レストア21

運転席側。

あれ?これ鉄板ちゃうやん?

FRP?

スバル360レストア22

強引にめくりました。

FRPが下の鉄板と全く引っ付いていません。強度出ていないのでは??でもモノコックボディーでこれはちょっと怖いな。

スバル360レストア23

案の定どでかい穴を発見。

スバル360レストア24

切り取ってもたれ。

 

2015/10/20

スバル360レストア25

切り取った床パネルと同じもの(いや、同じにはならなんだ。がんばったけど)を鉄板で作りました。

強度を上げるリブ(凹凸)は鈑金ハンマーで叩きだしています。

スバル360レストア26

2014/12/15に怪しいと思っていた部分。

思い切って切開すると、発泡ウレタンが充填されていました。

水が溜まるので+多少の強度アップということでしょうか。でもウレタンのおかげで水が抜けないとこができる可能性もあるよなあ。

ここの鉄板とウレタンは全てとっちゃいましょう。

ダクトっぽいのはヒーターの紙ダクトです。エンジンルームの熱気をファンでフロントウィンドウに持っていくやつです。

しかしこのウレタンを綺麗にとるのに随分苦労しました。

 

レストア4

2015/10/21

スバル360レストア27

切り取ったところを溶接していきます。

スバル360レストア28

こんな感じに溶接します。

奥にチラッと見える黄色のが半自動溶接器、スター電器のsuzukidアーキュリー160です。単相200V(エアコンとかと同じやつ)仕様でなかなか使い勝手がいい溶接器です。

その横にオレンジのホースから繋がる赤い物体はスリーエムのダブルアクションサンダー。コンプレッサーからのエアーで丸いサンドペーパーを動かします。

この二つはレストア作業に大活躍しました。

 

2015/10/23

スバル360レストア29

先に作ったフロアー用のパネルも溶接しました。

 

2015/10/28

スバル360レストア30

運転席の足元も切り取って、

 

2015/10/29

スバル360レストア31

鉄板を溶接しちゃいました。

スバル360レストア32

 

2015/11/4

スバル360レストア33

細かいところも鉄板切り貼りしていきます。

 

2015/11/11

スバル360レストア34

溶接した部分は PORパッチパテで隙間をふさぎます。

このパテは POR-15をパテにした防錆性能の高いパテです。

 

2015/11/12

スバル360レストア35

助手席側も穴があいて鉄板が弱っていると思われるところは切り取りました。

黒いのは塗装剥離したあとに錆が進行しないようにとりあえず塗ったPOR-15です。

スバル360レストア36

またしても鉄板を叩き出してパネルをつくりました。

スバル360レストア37

そして溶接。

ちょっとづつ溶接がうまくなっていくんですが、まだこのころは極意を見いだせていません。ちなみに今も見出してないですが。

 

2015/11/27

スバル360レストア38

ボンネット内、バッテリー置き場の下側はバッテリー液の影響でか完全にサビで腐っていたので、ここも切り取って鉄板で作り直しました。

 

2015/11/28

スバル360レストア39

溶接でパーツをつけてPORパッチパテを塗り込みました。

これでボディー切り貼りの大きな山場は越えました。

レストア5

2015/12/17

スバル360レストア40

室内にサーフェイサー(中塗り)を吹き付けました。

スバル360レストア41

サーフェイサーはわりかし早く乾くので、いきおいで上塗りも吹き付け。

 

2016/1/13

またちょっと日がとんでます。

スバル360レストア42

いろいろと苦労したこの部分。

フレーム的な場所なんで少し厚めの鉄板を溶接して作りました。

 

2016/2/3

スバル360レストア43

ボンネットの中になる部分。サビ被害がなさそうな部分は剥離をするのをやめました。

スバル360レストア44

とりあえずサフを吹いて、

スバル360レストア45

上塗りします。

 

2016/2/12

スバル360レストア46

ボディーの後ろ。お尻のところです。

POR-15を塗っているのでそんなに酷く見えませんが、サビでボコボコになっています。

スバル360レストア47

思い切って切り取りました。

そしてまた鉄板をチョキチョキっ、ハンマーでトントンと。

スバル360レストア48

なかなか慣れたものです。

スバル360レストア49

溶接の火花がタイヤなどに影響しないように専用のスパッタシートを被せています。

レストア6

2016/3/5

スバル360レストア50

ついにサーフェイサーまできました。

ここにくるまでにパテを埋めては削り、埋めては削りを繰り返してボディーの凹凸をとっています。

ちなみに 凹凸←おうとつ 凸凹←でこぼこ 変な字。

 

2016/3/10

上塗りです。

スバル360レストア51

楽しい作業です。

でも今回の塗装でわかったこと。黄色はなんぎな色やわ。

黄色は顔料の性質からか、下地を隠蔽する効果が弱いんですね。つまり、色が薄い。

なもんで、サーフェイサー吹いたあといれた緑色のパテが透けて見えちゃうんです。パテしたあとにもう一度サーフェイサー吹くべきやった。

透けないように何度も重ね塗りをすることになってしまいました。でも、おかげでちょっと黄色に深みが出たようです。

 

2016/4/6

外していたものを組み付けていきます。

スバル360レストア52

チラッと見える革巻きのハンドルは、自分で革を巻きました。シガ防虫公式サイトのブログで紹介しています。

ハンドル

スバル360レストア

だんだんそれらしくなってきました。

塗装剥離、サビ落としの苦行がうそのように爽やかな気分です。

 

2016/4/8

スバル360レストア54

フェンダーも取り付けて、白に塗り直したホイルもつけて、あと少しです。

スバル360レストア55

この空気取り入れのところのブーメラン型のやつはアルミ板を叩いて作ったものです。

もともとついていたのはプラスチックで安っぽかったからです。たしか前に所有していた中期型のスバルは鉄製やったと思うんですが。

屋根周り、ドア周りのゴム類も可能な限り新品に取り替えました。もちろん純正品ではないです。名古屋のダイコーゴムさんという会社が古い車のゴムパーツを製作しておられまして、そこからいくつか購入しました。ダイコーゴムさんのことは古い車に乗っている人ならみんな知っていると思いますが。

 

2016/4/14

ほぼ完成です。

スバル360レストア

一番最初にドアの建て付けにかかわるドアストライクの話をしましたが、それが真ん中ちょい上にある銀色のパーツ。改造してあったんで、真ん中で切り離して形を整えて溶接しました。

その右下ISOネジシールとタイヤ空気圧シールはパソコンで作ったものです。

 

2016/4/20

完成!

フロントウィンドウは自分でいれるのはちょっとリスキーだと思ったんで、車検時に二輪工房さんにいれてもらいました。

スバル360レストア57

 

スバル360レストア59スバル360レストア58

かわいいくるまです。

世界の自動車界は電気自動車・自動運転にシフトする流れのようです。

近い将来このスバルも公道を走れなくなる日がくるのかもしれませんね。

バタバタとうるさいエンジン音、白煙……。

たしかに過去のもんやわな。